「ストレスがたまる」とか「ストレス発散」という言葉を耳にする機会も多いと思います。
ところで、ストレスとはいったい何なのでしょうか?私たちはどんな時にストレスを感じ、ストレスを感じた時にはどう対処したらいいのでしょうか?
ストレスはコップとそこに注ぎこまれる水にたとえられます。コップはストレスに耐える力(ストレス耐性)、コップに注がれる水はストレスの量を表します。毎日の生活の中でまったくストレスを抱えていない人はいません。コップの中にはもともと水が入っているのです。そこに大きな環境の変化や嫌なことが起きるとコップの中にさらに水が注ぎこまれる状態になります。コップの大きさやもともとの水の量、注ぎ込まれる水の量は人によって違いますが、どんどん水が注ぎ込まれるといずれはコップからあふれてしまうように、不安な気持ちやイライラ、落ちこみなどの感情があふれ出してしまうのです。
「ストレス」という言葉で表すことが多いですが、実は「ストレッサー」と「ストレス反応」に分けられます。
原因である環境や状況、出来事など(コップに注ぎこまれる水)を「ストレッサー」と呼び、心や体、行動の変化のこと(コップから水があふれてしまった状態)を「ストレス反応」と呼びます。
「ストレッサー」
・人間関係のトラブル
・仕事や勉強が上手くいかない
・環境が変わった
・嫌なこと、不安なことがある など
「ストレス反応」
◭気持ちの変化◮
・イライラする
・不安な気持ちになる
・落ち込む など
◭身体の変化◮
・おなかや頭が痛くなる
・ドキドキする
・汗が出る
・肩がこる
◭行動の変化◮
・落ち着かない
・眠れない
・食欲がない/ありすぎる など
ストレスへの対処法のことを「ストレスコーピング」といいます。
「ストレス発散」と似ていますが、「ストレス発散」はストレスが発生した後にしか行うことができません。一方「ストレスコーピング」はストレスの原因を取り除いたり、自分の考え方を変えたり、ストレスに対していろいろな角度からアプローチする方法で、その中にはストレス解消も含まれます。
ストレスコーピングの種類
◭問題焦点型コーピング◮
「ストレッサー」そのものを解決しようとする方法です。自分の力で解決するだけでなく、人の手を借りることも大切です。時には「ストレッサー」を避け距離をとるという方法もあります。
・苦手な人を避ける。
・相手と話し合って問題を解決する。
・無理がないスケジュールに変更する。
◭社会的支援探索型コーピング◮
自分の力だけではどうにもならない時に、誰かにいい方法を教えてもらったり協力してもらう方法です。
・同僚に仕事を手伝ってもらう。
・専門家に利用できる制度や施設がないか聞いてみる。
・友達に勉強を教えてもらう。
◭情動焦点型コーピング◮
ストレスや不満を人に話すことで「ストレッサー」そのものではなく、傷ついたり落ちこんだりした気持ちを整理したり発散する方法です。
・友達に愚痴を言う。
・信頼できる人に悩みを打ち明ける。
・専門家に相談する。
◭認知的再評価型コーピング◮
「ストレッサー」そのものを変えるのではなく、「ストレッサー」に対する見方(認知)を変えることで、ストレス反応を軽減させる方法です。ストレッサーのいいところを探したり、今まで気づかなかった価値を見つけてみましょう。考え方を変えることは難しいことなので、一人で考え込むよりもいろいろな人の意見を聞いたりしながら、ポジティブにとらえてみましょう。
・苦手な人のいい面を見つける。
・「ストレッサー」を「辛いこと」としてではなく「成長するための課題」ととらえる。
・取り組むことを楽しむ。
・ストレスから学んだことを思い出す。
◭気晴らし型コーピング◮
いわゆる「ストレス発散」のことです。好きなことや趣味を通じて溜まっているストレスを発散する方法です。「心理室より」ではいろいろなリフレッシュ方法をご紹介しているので、自分に合うものを試してみてください。ただし、ゲームやスマホなど少しであれば有効な対処方法ではあるものの、やりすぎるとよくないものもあります。お菓子なども「自分へのごほうび」として楽しめればいいですが、食べすぎてしまうと健康を害してしまう可能性もあります。時間や量を決めて行うなど気をつけながら取り組みました。
・カラオケで歌う。
・映画を見る。
・スポーツをする。
困ったこと、辛いことが起きた時に対処法を知っているだけでも負担が軽くなることがあります。また、「こうしたら上手くいくかもしれない。」と考えられると「やってみよう。」という気持ちになりやすくなります。
ストレスに対処するという経験を積むことでストレスへの耐性ができます。今はストレスで辛いと感じているかもしれませんが、次に同じような出来事が起きた時は、今ほどのストレスは感じなくなります。少しずつ慣れていくことができるのです。さらにストレス耐性は、経験する内容に関係なく強くなります。まったく違う内容の経験でもストレス耐性は強くなるのです。
つまり、適度なものであればストレスも悪いものではありません。大切なことは早めにストレスに気づき、ケアしてあげることです。
少しずつストレスともうまくつき合っていけるといいですね。